職人インタビューvol.5

石原ゆかり(KAKURA)
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Text&Edit_Shuhei Sato
 
 
紙の魅力に可能性を見出したKAKURAの原点

レザー、紙、土を中心としたプロダクトを展開するカクラ。このカクラという名前は、アメリカの先住民族が由来だ。大阪にあるアトリエにてハンドメイドで製作されるアイテムは、デザインはもちろん、その作りのよさも定評が高い。今でこそ女性クラフト作家というジャンルが確立されているが、代表である石原氏がカクラをスタートさせたのは1998年。その苦労を語ることはなかったが、苦難の連続であったことは容易に想像できる。そんなことを微塵も感じさせないパワフルな石原氏だからこそ、独自の道を切り開いてこれたのだろう。

「レザー製品が大変ご好評頂いているので、革から始まったと思われる方も多いのですが、スタートは紙製品なんですよ。私はもともとデザイン会社に勤務していました。もの作りの一貫ではあるけど、パソコンを使うことがメインなので、次第に手で作る作業を渇望していったんです。無機質なものに囲まれるのが性分として合わなかったんですね。その反動から好きな紙を使いたいように使える今の仕事は天職だと思いました。1998年にブランドを立ち上げ、タイミングよく青山のスパイラルでのエキシビションなどに誘っていただいたりして、陶器作品も増え、徐々に軌道に乗っていきました。レザーを始めたのは2001年なんです」

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レザー好きも認める、デザインクオリティ

意外なことにレザー製品を手掛けるまで、革に触れたことはなかったという。しかし持ち前のセンスとカクラの世界観に共感してくれる地元の職人たちとの出会いで、ハイクオリティなプロダクトに仕上がっていった。革の表情を隠さない仕上げの「ナチュラルヌメ革」を採用し、あえて生涯傷を見せることで革が自然素材であることを実感してもらいたいという。

「過去にあったモノを作っても仕方がないので、特定のものをモチーフにしてデザインすることはないですね。日本人の精神性が表れる風習であったり、あえて処理をしないことで自然素材が持つ温もりをより活かしたりと、自分たちがよいと思えるものを素直に作っています。あとはミニマムなデザインであること。使うための機能をデザインし、変えようのない完成された形を目指しています。うちの製品は基本的に紙と土と革。紙なら薄い、軽い、折れるなどの特性があり、土なら固い、水や火に強い、曲線が作れる、革なら縫える、曲げられるなど、それぞれの素材の特徴をデザインによって引き出すことが重要だと思います。うちの製品は日々の生活をデザインすることだと自認しています。何かに特化したデザインではなく、使って頂くお客さまの用途によって自由に使える余白を残しています。だから少しでも日々の生活に馴染んで、自由につかってもらえるのが本望ですね」

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日々の生活を彩るプロダクト

シンプルで飽きのこないデザインに、永く使う前提で作られた手縫い縫製での仕上げ。この2つを両立しているプロダクトは、そうそうお目に掛かれない。大量生産の安いモノを否定する気もないが、日々の生活を豊かにしてくれるのは、カクラのように作り手の顔が見られるシンプルなものであることは間違いない。

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KAKURA
〒569-0814
大阪府高槻市富田町5-1-20
営業時間:11:00〜19:00
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