このインタビューでは、第一線で活躍をされているクリエイターの方々をお招きし、ご本人の活動に絡めて、ものづくりについてお話を伺っています。 
今回のゲストは、声優、CGクリエイター、アニメーション監督として活躍するFROGMANさん。
脱力系コメディ「秘密結社 鷹の爪」をweb制作ツールFlashで手がける注目の映像クリエイターです。
 
簡易的ながらも、愛着のあるキャラクター達を作り上げ、Flashアニメというジャンルを確立したFROGMANさん。もともとは東京出身ながら島根県への移住で人生がひっくり返った、その存在はインターネットだったとのこと。
当初予定していた世界進出も遂げ、物理的距離を越え「自虐ネタ」で心理的な距離も掴む、鷹の爪ワールド!

日本にまつわるお話を中心に、そのクリエーションの奥義は何かお聞きました。  

 

     

 
|大都市のフィルターを通した発信じゃなく
    地方からの発信に変わると思っていた
 

――まずはじめに、アニメ「秘密結社 鷹の爪」が10周年を迎えたそうですね。おめでとうございます!率直な感想を教えていただけますか?

 
そうですね、10周年のキャッチフレーズにもあるみたいに「クソアニメと呼ばれて10年。」ではあるんですが、まさしく10年やってこれた理由が「クソアニメ」と呼ばれたからこそなんです。常に「鷹の爪」っていうのは「クソアニメ」だとか、「紙芝居みたい」だとか、「ちゃっちい」とかって言われるんですけど、そこには、なにくそ!という思いもあり、ひっくり返したいなっていう思いがありました。
 
一方で、僕はもともと実写をやりたくて、アニメーションは自分の一番やりたいことじゃなかった。けれども、自分が強い希望じゃなかったからこそいい距離で10年続けてこれたという思いもあるんですね。多分こうアニメに対して物凄く思い入れが強くて、あぁしてやろうこうしてやろうという身の丈に合わないようなことをもし考えていたら続かなかったのかなと。だから今後もアニメとその距離感を保ちつつ、創作活動をしたいと思います。
まあそんな風に感じながらも、やっぱり「鷹の爪」の自分が創り出したキャラクターっていうのは凄く好きです。ひょっとするとアニメじゃなくて別の形に将来なったとしてもいいかなと思いますし、具体的に言うと実写になったりとか舞台とか書籍になっても良い、今のアニメの形が変わったとしても自分が創り出したキャラクターは愛し続けるでしょうし、これまでの10年もそういうスタンスだったからこそきっと良かったのかなと考えています。
 
 
――なるほどですね。FROGMANさんがアニメーション制作を始めたきっかけって、何だったのでしょうか?  
 
僕はもともと実写の映画やドラマのスタッフだったんです。映画監督になりたかったんですよ。
だから高校時代からずっと映画監督を目指してて。20代は全てそういう業界に時間や想いを捧げてきたけれど、なかなか夢が叶わなかった。30歳を前にして自分の身の振り方をどうしようか?と悩んでた時があったんですね。
そんな中で島根県へ映画のロケで行く機会がありました。僕の師匠の錦織良成監督という島根県出身の映画監督がいるんですけれども、彼が地元で映画を撮るっていうんで僕も島根についていきました。そこで島根県に初めて訪れ、色々カルチャーショックを受けるわけです。
 
ちょうどそのタイミングはインターネットの時代もやってきてて、ネットで動画が流せるとか、ゆくゆくは携帯でも動画が見れるんじゃないかみたいな、そういう時代でした。ひょっとすると島根のような田舎からそういうエンタテイメントを発信するのって、これから主流になるんじゃないかなぁと。特にインターネットが普及し始めると、今までの情報の流れというのが変わるんじゃないかとも。
地方の情報も一旦東京など大都市のフィルターを通して全国に発信されるのが、今後は地方から直接情報が発信できたりして、地方の時代がやってくるだろうと思いました。
 
活動の場を地方に変えたほうが良いということで、映画の撮影が終わった後に島根県に住み着くわけなんですよね。住み着いて、最初は実写のドラマみたいなものを島根で作ろうと思ったんですけど、なかなか思うように行かず、これは人に頼ってちゃダメだなと。自分一人でなんでもやらなきゃいけないと思ったときに、じゃあ一人で出来る映像ってなんだろう?と。こう考えたときに、アニメだ!という風に気付いて、アニメ制作を始めるようになるんです。もちろんそれまでアニメなんかやったことも無いし絵も描いたこと無いし、アニメに対する知識も無かったんです。ですが「Flash」というツールを見つけて、これだったらまぁ素人でも作れるということがわかったんで、Flash制作を始めました。
 
 
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|江戸切子で10周年を祝う! 
    世界征服をもくろむ悪の秘密結社 鷹の爪団
 
――そこから鷹の爪は生まれて10年が経ったんですね。今回の秘密結社 鷹の爪10周年の記念商品は、東京の伝統工芸品「江戸切子」ですね。江戸切子に対してどんな想いがあるんでしょうか?
 
江戸切子が単純に好きです。実は切子のグラスはいくつか持っているし、人からもいただいたりするんですけども。僕は東京生まれで、親も戦前まで日本橋に住んでいて江戸っ子なんです。江戸(東京)が誇る伝統工芸として「江戸切子」は代表格なんですね。誰もが知っていて、今でも凄く人気があるもの。だから江戸切子と鷹の爪のコラボレーションっていうのは、やって然るべきという気持ちです。10周年の節目としてふさわしいアイテムと思ってます。
実際職人さんから上がってきた現物を見て、凄く綺麗で洗練されてて驚きました。江戸切子の涼しげな感じは見ていても楽しいし、実用の物としても凄く重宝しますよね。もちろん自分で楽しむのもいいけれど、贈って喜んでいただくような、そんな贈り物にもいいんじゃないかなと思います。
 
 
――なるほどですね。今回の鷹の爪プレミアム「鷹の爪×江戸切子」を手がけた職人、清水秀高氏の作品を見てどうでしたか?
 
これ、本当に手作りか!?って。手作りっていうともっとこう、歪な…というか、人間の手っていうのは誤差が生まれるもんだと思っていました。とにかく精度の高さに驚きましたね!職人って言うのはこういうものなんだなと。
 
 
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|クリエーションに大事なのは気持ち
 そして意図するものが的確に伝わるように、言葉を大事にする
 
――アニメ制作においてプロであるFROGMANさんが制作活動をする上で大切にしていることは何でしょうか?
 
なんだろう…メンタルの部分なのかな?「鷹の爪」の場合は、僕はもともと絵があまり上手じゃないので、ストーリーや世界観、キャラクターの立ち振る舞い、思想みたいなものをとにかく大事にする為に、脚本は短くても一生懸命に面白く作るっていうのは常に心がけています。
 
映像全般、特に物語があるものって何でもそうだと思うんですが、文字を書くことから全てスタートするんですよね。企画書や脚本とか。だから文字や言葉というものを大切にしますね。スタッフやプロデューサーだったり、関連する企業さんに自分が意図するものがちゃんとこういうものですって的確に伝わるような言葉遣い、文章に気を使います。
 
 
 
“わび・さび”は現代アート
  日本人の良いところって、やっぱり洗練されてるところ
 
――考えを説明してやりたいことを表現していく仕事ですもんね。では、FROGMANさんが感じる日本のものづくりの良さについて教えてください。
 
日本のものづくりというか、日本のデザインかな。西洋がまだ宗教画とか具象画に熱中してた時代に、すでに千利休とか、いわゆる”わび・さび”とかに熱中しているんですよ。”わび・さび”って何かって言ってみりゃ、今の現代アートなんですよね。
いま世界でありがたがってやってるようなことをすでに、今から500年前に日本人は実践してたわけなんです。江戸に入ってからも、着物や羽織などのデザインも凄く大胆な色使いしてるし。藍の色を染め抜いて、でっかく丸だったり四角だったり、それを緊張感を持ってなんの隙も無いデザインに仕上げることを、遥か昔に日本人はやっているんです。
 
日本人の良いところって、やっぱり洗練されてるところなんですよ。もの凄く緻密に作るとか、豪華に作るって事は世界各国でも沢山できますが、洗練されたデザインは日本人がお得意だなあって思いますね。何百年も積み上げてきた日本人が持ってる感性。華美なものや華やかな装飾は他所でも作れるんでしょうけど、シンプルな洗練さっていうのは日本人のお家芸だと思っています。
 
 
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FROGMAN
 
1990年4月に株式会社読売映画社入社。
2006年に「秘密結社 鷹の爪」を地上波で発表し劇場公開後、斬新ながらもキャッチ―で愉快なアニメーションが注目を集め、その後テレビや映画シリーズなどで多くの話題を呼ぶ。
独自の世界観とプロデュース手法が注目され、「島耕作」シリーズ、「ルパン三世」等の有名原作のパロディ化によるリプロデュースにも従事する。
2008年度ニューヨーク国際インディペンデント映画祭にて「アニメーション部門 最優秀作品賞」「国際アニメーション最優秀監督賞」を受賞。
 
 
 
 
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